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松本 宏之

TOPINTERVIEW 松本 宏之

松本 宏之Hiroyuki Matsumoto

文京ガーデン東京歯科院長・
東京医科歯科大学歯学部非常勤講師

日本歯科大学歯学部卒業。東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科保存学第3講座、同大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻口腔機能再構築学講座歯髄生物学分野助教、東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科非常勤講師等を経て東京医科歯科大学非常勤講師。2019年5月文京ガーデン東京歯科を開業。インフェクションコントロールドクター(※)資格を持ち、2013年より株式会社東急イーライフデザインシニア住宅・介護住宅医療顧問兼感染対策委員会委員長。
※病院の感染対策と感染制御についての専門的知識を有する医療従事者の認定資格

新型コロナウイルス感染症の拡大から身を守るため、日常は感染予防対策を実践しながらの新しい様式に変わってきています。
インフェクションコントロールドクター(感染制御の専門的知識を持つ医療従事者)として
グランクレールの感染対策委員会委員長を務めている、文京ガーデン東京歯科院長・松本宏之先生に、対策の心がまえを伺いました。

排除せずにウイルスと共に生きていこうというのが
大事な考え方です

1感染症はコロナ以外にも
身近にたくさんある

現在は新型コロナウイルス感染症の動静が注目されていますが、実はそれ以外にも、身近には多種多様なウイルス・細菌によって起こる感染症が存在します。毎年、流行時期に注意喚起がなされる風邪・インフルエンザ、ノロウイルス、夏は食中毒や蚊が媒介する感染症もあります。歯科で言えば虫歯や歯周病も、細菌による感染症の一つです。近年の研究で、歯周病菌とあらゆる全身疾患が関連していることがわかってきましたので、健康長寿のためには歯周病をしっかりコントロールすることが重要です。

それぞれできる対策はありますが、生活の中では、特定のウイルスや細菌を気にするよりも、全てに共通してできるスタンダードな対応をきちんと行う、つまり、生活習慣全体を整えることが大切だと思います。

新型コロナウイルス感染症を恐れるあまり、薬が切れているのに必要な受診ができず、持病が知らないうちに悪化するというケースも見受けられます。感染予防対策と日常の健康をどのように維持していくかは、バランスをとって選択していかなくてはなりません。過去の歴史から大きな害を及ぼすことがわかっている感染症については知識を持って向き合うべきですが、特に新しいウイルスに関しては、「まだわかっていない」「今後どんどん情報が変わっていく」ということを認識しておき、手洗い・手指消毒など、これだけは押さえておくべきという基本的な対策をきちんと続けるということに尽きるのではないでしょうか。

医学的情報も日々更新され、良いと言われていたことが変化することもありますので、100%これで良いということではないのだということも柔軟に受け止めていただければと思います。

2冷静に、自らを守る行動を

新型コロナウイルス感染症に関して言えば、3密(密閉・密集・密接)を避ける、手洗い、消毒、マスク、ソーシャル・ディスタンシングなどの対策はしばらく必要でしょう。例えば、外から帰ってきたらすぐに手を洗う、食事前は手を洗うなど、これまでと変わらない習慣でもあるかもしれませんが、こうした習慣をどのように組み込むかという、生活のリズム感をもう一度整えてみてください。

そのうえで、簡単にできることから積極的に自立的な行動を取り入れていく、受け身ではなく「自ら身を守る」という新しいライフスタイルをご提案したいと思っています。例えば、石けんで丁寧に手を洗ったあと、手を拭けば終わりだったものを、洗面台の周りを拭き取るところまで行うなど。こうすることで感染リスクをより下げることができます。みなさんが共有する場所は使った人が率先してそうした行動をとれば、利他の精神で他の人のことも守ることになります。

3これからはウイルスと共生する時代

一人ひとりが心がけていただきたいのは、食事、運動、睡眠など生活全体で健康的な生活習慣を維持することです。体も適度に動かし、精神的にもボジティブな心を保ってほしいと思います。ソーシャル・ディスタンシングで物理的に距離は保っても、心は離れないようにしてください。

リモートやオンラインでの活動も普及してきました。長所・短所の両面がありますが、今後、シニアの方も使いやすい簡単な方法が世界中で開発されていくでしょうから、長所を活かして楽しいこと、心の潤いになるような新しいつながりも持てたらいいですね。また、手段は変化しても、日本人が誇るべきつながりの文化をなくしてはいけないと思いますので、今後も残したい文化を大切に次世代に伝えていっていただきたいと思います。

これからは「withウイルス」、つまりウイルスと共生する時代です。どんな病気でもそうですが、病気を排除するのではなく、病気を受け入れることから全ては始まります。全てのウイルスは誰でもかかる可能性があり、かかった人が悪いわけではないし、自分がかかったとしても自分自身を卑下する必要もありません。昔から、ウイルスとそうしたネガティブな心理は深い関係があると言われていますが、そうした心を持った「withウイルス」の人間を治療するのだという、一歩進んだ「人間を大事にする医療」がこれからの医療だと私は考えています。その前提はグランクレールのスタッフとも共有しています。

また、この前提は全ての人々にも共通して言えることではないでしょうか。目に見えないものを極度に恐れずに、ウイルスと一緒に生きているのだという意識を持つことがまずは大切ですし、冷静にできることを淡々と継続していけば、将来的に未知の新しいウイルスが発生しても、それほど変わりなく対応していけると思います。そして、相手のことも自分のことのように思いやれる精神で、みんな同じなのだと、決して拒否したりすることなく受け入れる————。こうしたスタンダードを日頃から育て、共有していくことが重要であり、ウイルスはあくまでもきっかけに過ぎません。新型コロナウイルス感染症は、改めて自分自身を振り返ったり、新しい生き方を見つけたりするきっかけでもあるのではないでしょうか。

自分も守り、他人も守る
「感染しない・させない」対策をしっかり続けましょう

  • マスクの着用
  • 手洗い
    (30秒以上)
  • アルコール消毒
  • 換気
  • ソーシャル・ディスタンシング
  • 検温
  • 咳エチケット

他にもできること…

  • 手を洗ったら洗面台周りも拭き取る
  • 距離は離れても心は離れない
  • 自分も他人も責めない
  • 運動・食事・禁煙など適切な生活習慣を維持する

グランクレールの
感染症への取り組み

「グランクレール」各住宅にて、松本先生の指導のもと、
物品の保管、動線、消毒作業など感染リスクを下げるための対策を行っています。

テーブルや椅子の裏側は、手が触れやすいのに消毒漏れが起こりやすい盲点。

(上)台形のテーブル各辺に距離をとって椅子を配置。間に介助者が入ることで正面から飛沫を浴びるリスクを少なくしながら、左右の2人を介助することができます。
(下)十分な距離が保てない配置。