1生物は仲間を作り共に進化してきた
生命体の起源は、たった一個の細胞から始まっています。地球ができ生命体が誕生する以前には、宇宙で分子が飛び交っていて、分子が自己複製しようとするシステムが進化することで、多様で複雑な生物が作られていったと想像されています。つまり、自己増殖して滅びないように子孫を残すということが生物の原点です。生物の始まりである単細胞生物がクラスター(集団)を作り、互いに連絡を取り合うことによって様々な機能を発揮できるようになり、多細胞生物が誕生しました。このとき、自己と他者を区別するために膜(細胞膜)を作り、様々な物質を取り込んで機能を果たし、役に立つ機能だけが残されていくという進化を遂げてきました。さらに、自己増殖して仲間が増えると、それが別の個体になる場合もあります。同じ多細胞生物でも様々な動物や人へ進化し、そこに家族が生まれ、社会というネットワークが生まれてきます。
こうした進化の過程の中で、マンモスや恐竜が栄えた時代もありながら滅びてしまったように、外敵が侵入してきては社会を脅かすということも繰り返されてきました。未知のウイルスも、そうした外敵の一つかもしれませんが、生物はウイルスを時には排除し、時には共生しながらウイルスと共に進化してきました。
今なお、人は仲間を作り、ネットワークを作り、外敵を抑え込んで新しい世界に入っていくという、進化の途上にあります。新型コロナウイルス感染症がもたらした世界は、明らかにそのことを示していると言えるでしょう。